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2020年9月期 第2四半期決算説明会

2020.05.15

  ASEの新型コロナウイルスに関する影響と対策状況については、安倉から続けて説明させていただきます。

  前述の通りASE自体が来店促進のための位置情報を使ったプロダクトということもあり、外食、アパレル、イベント系の広告需要が 3月下旬以降急速に売上減退している状況です。

  4月以降も緊急事態宣言が発令され外出自粛が社会的に強く要請されているため、タクシー広告のように、外出自粛時には、稼働数は減少するものの移動することが前提の方へと広告コミュニケーションをとるのとはさらに状況が異なり、「広告によって人を動かすこと自体」が根本価値であるような ASE事業にとってはより事業根幹を揺るがす外部環境の変化となっております。

  そんななか、ASE単体としては、既存の提案スキームでの事業継続は困難な状況から、プロダクトの想定主要クライアントではないブランド広告主に対しての提案活動を行なっております。しかし、上記のマイナス要因と比較すると、提案機会とインパクトも軽微なことから、フリークアウト全体でのリソースの最適配分を進めています。

1.ブランド広告主に対して提案活動

  オンラインではセグメント化が難しい位置情報から推定可能なペルソナ(居住エリア、勤務エリア etc)を活用して、ブランド広告主向けにオーディエンスターゲティング配信の提案活動を実施しています。

2.リソースの最適配分

  ASE事業は、事業会社フリークアウトに紐づいており、東京ではDSPを販売するチームが、関西は全セールスメンバーが、DSPやPoetsと合わせてASEを販売する体制をとっておりました。今回、ASEの事業機会が大きくロストしてしまっている一方で、TVerやPoetsなど、新しい事業機会も生まれてきておりますので、投下営業コストに対しての最大リターンを得るため、営業活動のリソースをASEからTVerやPoetsなどの商材に比重を置いて提案活動をしています。


  続いて、タクシー広告TokyoPrimeを展開しているIRIS社の新型コロナ影響への対応についてと、最後の総括までの説明を、本田よりいたします。

  3月半ば頃から、外出控えによる屋外需要の落ち込みが始まり、タクシー乗車数なども不安が見られましたが、3月においてはIRIS社は過去最高の売上を達成しました。ですが、4月、そして5月も、この外出控えの影響が大きく出ておりまして、この状況が続く限りは、売上減は避けられない状況です。

  IRIS社は子会社ではなく持分法適用会社ですので連結決算に対しては、上述IRIS社の売上はヒットしませんが、持分法による投資益と、事業会社フリークアウトによるIRIS代理店事業の売上等がヒットすることになります。

  このような状況が続くことが想定される中、どのような対策をとってきたかについてですが、

1.表示回数課金メニューの販売

  このように乗車回数が極端に変動することは想定していなかったため、これまでは掲載金額は期間で固定とした販売メニューを中心としていました。ですが、広告配信のボリューム予測が立てづらい状況が続くことから、表示回数での課金メニューも追加しました。

  こういった商品メニューを開発できたのは、タクシーサイネージは乗車と同時に広告が表示され、乗車中のみ広告が表示される媒体であることから、期間内に何回の乗車によって、どのくらいの視聴があったを正確に把握でき、それをレポートとして広告主に提供できる媒体の強みを持っていまして、他の大型ビジョンや電車内のようなサイネージ広告では、このようなこと(どのくらい広告が閲覧されたかの正確なレポート)は出来ません。
https://ads.tokyo-prime.jp/news/20200507_imp

2.医療従事者へのエール

  タクシー乗車量全体が減ったといっても、現状特有の利用傾向があり、例えば、医療従事者の方が以前よりも使われたり、病院を起点とした乗車・降車が増えるなど、コロナ禍特有の事象も起きているため、医療従事者の方々を中心にコロナウイルス感染拡大の中でも最前線で仕事をしてくださっている方々に、感謝のメッセージを届ける「ありがとうを運びたい」の放映を開始しました。

  こういったCSR的な活動は直接的な売上貢献を見込むものではないのですが、東京をはじめ、当たり前のように見かけるようになってきたサイネージ媒体の一つとして、このような状況下でとるべき社会貢献活動であると同時に、このような状況下であるからこそ、一般の媒体視聴者に寄り添う形で、メディアとしての信頼感、ブランドをしっかり築いていくことも狙っています。コロナ以前は、この時期はオリンピックに併せた媒体ブランディング施策をする計画ではありましたが、結果的には今はこの状況にあわせた別の施策で媒体を成長させて、翌年移行のオリンピックにおいては、更に大きなことを仕掛けていけるようになりたいと考えております。

  これまで我々は広告会社として、従前から取り組んでいたメディア収益支援事業などにおいては、直接的に顧客である媒体の記事・企画などに携わることはありませんでしたので、企業としてのCSR活動としては、例えば、「問題視されることも依然として多い、違法性のある低品質の媒体や、虚偽広告を取り扱わない」ような企業姿勢であるとか、社会の公器として当たり前のことを誠実にやっていく形で、社会的責任を果たしてきました。

  ホールディングス企業として、IRIS社のように直接的に媒体運営をするポートフォリオも出てきたことで、今回はより一般消費者向けにもわかりやすい形で、我々のこういった活動をお見せすることが出来ましたが、今後も有形無形のものにかかわらず積極的に取り組んで、社会的責任を果たしていきたい考えであります。
https://ads.tokyo-prime.jp/news/20200501_yell

3. 統合プロジェクト

  前Q決算説明会でもお話しました、JVの相手先(新会社名:株式会社Mobility Technologies)もいよいよ合併後の活動が開始し、我々との広告事業であるTokyoPrimeも新たな局面を迎えて行くことになります。(座組については前Qで説明した通りです。)

  Mobility Technologiesと協力し、夏ごろを目処に時期や新商品メニューを発表することを計画しています。順調に行けば秋には新しいTokyoPrimeとして配信が始められるでしょう。

  秋頃に、新型コロナの影響がどうなっているのかは、全くわかりません。ですが、先ほどお話したようにIRISは3月には過去最高売上を作れるくらいには、順調に足元は成長して来ています。JapanTaxi・MOVの統合により、Mobility Technologies社が提供するサービス提供範囲は50,000台を超えます。現在30,000台規模のタクシーで展開するTokyoPrimeの規模が大きく成長する形で、来期は理想的なスタートするための準備をしていきたいと考えています。

  以上、第2四半期決算及び、コロナ影響による今後の見立てについて、一通り説明させて頂きました。

  何度かお話させてもらったように、上方修正も視野にいれていたくらいに各事業の収益力は強まってきた中で、このような事態となったので、今期については、計画については据え置きといたします。

  影響を受けたと言っても、想定外に数字が伸びた事業もあり、上期の貯金もあり、また今期中に開始できる施策も多いことから、仮にこの状況が続いたとしても、下方修正に至るほどでもない認識ですし、願わくは早期に収束することで、計画以上の数字で落ち着くことも期待する一方、収束時期は読めないことからも、現時点では据え置きとする判断です。

  下期については、コロナ影響の続く中でありますが、今期計画達成と、このタイミングだから出来る来期以降への仕込みに集中していきたいと考えております。