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新・中期経営計画(FY24-26)

2023.12.01

  当社は、この度、2026年9月期に向けた3ヵ年の中期経営計画を策定いたしましたので、事業の進捗と併せてご説明させていただきます。

  ダウンロード資料についてはこちらをご確認ください。

  最初に前回2020年11月に策定・公表した前中期経営計画(2023年9月期ターゲット)の振り返りです。

  定性面ではFocus on the good stuff(よいメディア、広告主様によいプロダクトを提供することにフォーカスする)をテーマに日本・海外・新領域のそれぞれで事業成長を目指し、定量面ではEBITDA30億円を目標に取り組みました。

  定性面については、日本ではFocus on the good stuffに沿って、収益構造の大幅な変化と改善を達成しました。具体的には、新プロダクトScarletを中心に、国産大手動画メディア様へのプロダクト・サービス提供と、合弁会社IRISを中心とするタクシー内のデジタルサイネージ事業が当社の収益の柱に成長しました。23年9月期の日本事業のEBITDAは16.5億円となりましたが、このかなりの部分を両サービスが支えています。特に3rd party cookieの問題が将来に控える中で、cookieによるターゲティングに依拠しない、この両サービスをコア事業に育てあげたことは、極めて大きなチャレンジと成功であり、他のアドテク事業者との大きな差別化要因となっています。

  また、23年9月期に景気後退などの影響で失速したものの、広告のグローバルな主要市場である北米での事業も大きく成長し、当社の収益の柱となりました(20年9月期売上61億円、EBITDA7.9億円から、23年9月期は売上164億円、EBITDA12.2億円に)。さらに、アジアの事業も20年9月期はほぼEBITDAがゼロに近い事業であったのが、この3年でEBITDA3億円~5億円を安定して稼げる事業となりました。

  これらの結果として、定量目標であったEBITDA30億円を、個別の事業に過度に依拠することなくバランスよいポートフォリオで達成しております。

  一方で、新領域事業についてですが、Fin Tech事業をカンムを中心にコア事業の一つにするという目標を定性面で掲げておりましたが、お知らせのとおり、23年9月期にカンム社を株式価値総額で250億円で売却し、その資金をもとにUUUM社を連結子会社しました。グループとしてデジタルマーケティングに回帰・フォーカスする戦略的な方針転換を行ったものですが、カンム社を250億円の評価を受ける事業に育てあげたこと、売却資金によって次の中期経営計画のコアの1つとなる領域への投資を実現したことから、新領域事業についても一定の成果を得られたと考えています。

  以上総括しますと、もちろん次の中期経営計画に向けての改善点はありますが、定性面では当社の想定していた未来が概ね実現できたこと、定量面でも23年9月期の失速もあり全く満足できる水準ではなかったものの目標を上回るEBITDAが達成できたということで、一定の成果を出せたと考えております。また、次期中期経営計画に向けても、インフルエンサーマーケティング(UUUM)、GPと希望を強く持てる事業の仕込みに成功しております。

  当社祖業であるRTBのテクノロジーは、「コンピュータが、人が媒体を見た瞬間を一瞬で評価し、適正価格を算出し、広告枠を買い付ける」ことを可能にしました。それまでの人の手による買い付けでは絶対にできなかったこの手法が可能になったことで、広告業界には、「アドテク(広告テクノロジー)」と言われる新しいマーケットと、多くの職種が誕生しました。​

  この経験から、当社のミッションは「人に人らしい仕事を」とし、機械が人間の仕事を奪うのでなく、機械によって、人間の新しい仕事を作り出すことを可能にするようなビジネスの創生を目標としてきました。​

  今回の中期計画では、成長戦略の中で新しい事業領域にフォーカスしていきますが、「人に人らしい仕事を」というミッションからは一切ぶれることなく、グループ一丸となって、中期計画の達成に取り組んでまいります。​

  新中期経営計画の骨子についてお伝えいたします。「Accept change, transform yourself.」という言葉を、今回我々は掲げていきます。

  デジタルマーケティングの領域で長く事業を行ってきた我々が実感していることですが、変化が激しいこの領域で同じ事業に固執することから、持続的な成長は生まれません。DSPを祖業として我々は事業を開始しましたが、DSPは事業のコアの一つでありつつも、今や収益のかなりの部分がDSP以外の部分であり、前中期経営計画でも、タクシーサイネージ、大手動画メディア向けサービス(Scarlet)、北米事業が収益の柱になりました。今後もthird party cookieの問題や、プラットフォーマーの方針変更、視聴環境の変化(Youtubeのショート動画への視聴時間シフト)など多くの変化が起こっていきます。ただその変化を甘んじて受けるのではなく、その変化をチャンスとして新しいことに取り組むことで、持続的に成長していきたい、そのためには自分たち自身が常に自己変革を続けなければならないという意味で、今回のキーワードを掲げさせていただきました。

  詳細は次のスライドになりますが、具体的には、
  ・事業エリアとして、グローバルであることを当然の前提にすること
  ・インフルエンサーマーケティング、Retail領域を新しい事業の柱にすること
  ・動画広告領域のビジネスをより進化させる
  こういったことに取り組んでいき、結果として日本発のグローバルなモノづくりの会社として、フリークアウトグループを進化させたいと考えています。

  こちらがサマリーになります。定量面では、FY26のEBITDAの計画を、60億円と設定しました。前中計の目標を大きく上回る計画となっていますが、前中計にて主力事業に成長した各事業及び新規事業を大きく成長させていくことで、達成させていきたいと考えています。また、その定量面を達成するための全社戦略として、フォーカスしていく領域を4つ定めております。

  定量面についてはこちらを計画しています。

  当社は、財務指標として、キャッシュ・フローと親和性が高いEBITDAを重視しております。今回の計画では、EBITDA60億円を目標数値とするとともに、この60億円を達成するために必要な規模感を表す指標として、売上高700億円も目線として掲げさせて頂きます。

  御覧の通り、前中期経営計画期間である20年9月期から23年9月期にかけて、当社は大きく成長しました。この3か年でも、改めて大きな成長曲線での成長を実現していきます。

  なお、各年度の数字感については、すでに開示しておりますとおり、24年9月期は利益的にかなり厳しくなる見込みです。インフルエンサーマーケ領域のエンジニアリング投資や、北米の立て直し・再成長に足元取り組んでおります。25年9月期にどの程度の売上・EBITDAを目標とするかは今後の事業の進捗により変わってくる見込みですので、現時点では言及は控えますが、26年9月期には先ほどお伝えした目標を達成できるよう、この3年事業成長にコミットしていきます。

  定性面でフォーカスしていく領域について、詳細は後ほどのスライドでご説明しますが、概要は以下となります。

  1つ目はプロダクトのグローバル化に取り組んでいきます。これは戦略というよりも、今後各事業が当然の前提として持っておくべき視点、マインドセットです。我々グループは、北米、アジアにすでに拠点をもっており収益化に成功していますが、今後はGPを皮切りに、日本で作ったものを北米を通じてグローバルに展開していく、その流れを構築していくことにこの3年取り組んでいきます。

  2つ目は、インフルエンサーマーケティング領域です。この領域は、特にUUUM社の連結グループ化のねらいを中心に後ほどお伝えいたします。

  次に、Retail領域です。こちらは我々が今まで得意としてきたソフトウェアの領域ももちろんなのですが、ハードウェアの領域にもチャレンジしていく、さらにそれをグローバルに展開していくことを目標に掲げます。

  最後に、動画プロダクト領域です。この領域では、前中期経営計画ですでに一定の成果を得ていますが、まだまだ伸びる領域ですので、GPやサイネージ領域でのシステム提供を中心にさらなる成長を実現していきます。

  また、全体に関係するところで、グループマネジメントの強化は引き続き取り組んでいきます。前中期経営計画で、FinTechのカンムからUUUM社への事業ポートフォリオの入れ替えや、グループ間でのシナジー構築に取り組んできました。今後もプロダクトのグローバル展開や、UUUM社とのシナジー実現を中心に、グループとしての成長・アセットの最適化を進めていきます。

  この中期経営計画期間では、まずプロダクトのグローバル化を達成いたします。

  これは次以降の各フォーカス領域に共通していく全体的な取り組みですが、市場規模で考えた場合、北米だけでも日本の10倍以上の市場規模があります。アジアやその他地域も含めると、日本という市場だけで勝負をする理由はどこにもありません。

  当社は創業来10年かけて、グローバル展開を進めてきました。結果として、北米と東南アジア、東アジアのほぼ全拠点で黒字化を達成し、海外での事業が大きな収益基盤となっています。ただし、足元の課題感として、各拠点個別の最適化は達成できましたが、日本発のプロダクトを全世界に発信していくという、当初の目的はまだ達成できておりません。

  次の中計期間では、このグループとしての基盤を活用して、さらに日本で開発したプロダクトのグローバル展開にチャレンジしていきたい、それが当たり前というマインドセットと事業感覚で成長できる基盤を作っていきたいと考えています。具体的には、まずはYoutubeの広告枠買付システム・サービスであるGPの北米展開を加速させます。グローバルの広告プロダクト業界の状況として、北米のグローバルエージェンシーにより採用されたプロダクトは、彼らのビジネスに乗る形で、非常にスムーズにアジア、ヨーロッパ含めたグローバル展開が可能になります。この流れをGP以降、インフルエンサーマーケティング領域も含めて当社が展開していくプロダクトに向けても作っていくことで、さらに次の中期経営計画、10年間に向けた基盤をこの3年で作っていきたいと考えています。

   次に、インフルエンサーマーケティング領域です。​

  従前当社グループでは、GPを通じてこの領域に進出しており、Youtubeのマーケット環境についても一定の理解をしておりました。今回、改めて高い成長性を見込めるこの領域に、UUUMの連結子会社化を通じて本格的に進出いたします。​

  狙いとしては、プラットフォーマーのフォーマットの変化や、各プラットフォーマー(メディア)の強弱が変わったとしても、変わらない普遍的な価値がコンテンツとそれを生み出すクリエイターにはあると考えています。この点、所属するクリエイターとクリエイターマネジメント機能において、日本で一番強力なものを持っているのは間違いなくUUUMです。彼らをグループに迎え、コンテンツ領域まで事業領域に含めることで、グループとして、プラットフォーマーの成長性を取り込むことが可能になります。そこで、従来やってきたアドテク側からのアプローチからもう一歩コンテンツ領域にまで踏み込むために、UUUMを連結子会社化することにいたしました。​

  今後は、広告予算が流入していく未来がほぼ確定しているインフルエンサーマーケティング領域で、プロダクトベンダーとしてもトップになります。具体的な内容や構想は競争環境の問題もあり詳細には話せませんが、この領域でのプロダクトを開発・提供し、日本をスタートにグローバルに展開していきたいと考えています。​

  また、そのために必要な具体的なアクションとして、フリークアウトグループからプロダクトの責任者である箭内をCTOとして、アドテク業界のフロントで成果を出してきた鈴木を取締役として、UUUMに派遣し、コミットしてもらうことになりました。当面はエンジニアリングチームの組成などや足元の諸問題もあり、PL的にも厳しいタイミングが1年強は発生すると見込んでおります。しかし、彼らが取り組んでいるスリム化含めて、2026年9月期に一つ収益の柱に育て上げられるように取り組んでいきます。

  続いて、Retail領域についてです。このRetail Mediaの領域については、この3年~5年で大きく広告予算が伸長していくことが期待されている領域です。

  当社はタクシー車内をメディア化させて、一つの文化を作り上げてきた、当社の収益の柱としてきた実績を持っております。このRetail Media領域についても、当社は「店舗をメディア化させる」という目標のもとで、従来得意としてきたコンテンツ配信システムのソフトウェア提供に加えて、「ハードウェアをゼロから開発して、全く新しいサイネージを店舗に設置する」ことまで踏み込んで小売実店舗のRetail Mediaのプロダクト開発を進めてきました。

  このサイネージの概要についてはスライドのとおりですが、リテールメディアの広告主にとっての本質的な価値は「商品を手にする直前に目にするメディアであること」であり、高い視認性が求められます。一方で、小売事業者側の大きな 課題は、「商品棚をいかに潰さないか=邪魔にならないか」です。当社が提供する店舗棚サイネージは、この広告主側のニーズと、小売事業者側の課題解決を双方満たすことができるサイネージハードウェアとなっています。 当社は、ソフトウェアだけではなくハードウェア(サイネージ)についても改良を続け、店舗棚サイネージにおける、グローバルスタンダードを目指していきます。

  また、実店舗でのプロダクト提供に加えて、小売事業者のオンライン店舗の広告収益化についても引き続き取り組んでいきます。小売事業者向けの収益最大化プラットフォーム「FreakOut Retail Media Platform」の提供をすでに開始しております。第一弾の提供先は、伊藤忠商事との提携の一環として、コープデリ生活協同組合連合会様に決定しています。

  この中期経営計画期間では、リアル店舗/オンライン店舗、ソフトウェア/ハードウェアの垣根を越えて、小売事業者向けのサービスを強化していきます。

  動画広告プロダクト領域では、前中期経営計画期間で、Scarletなど国産の大手動画メディア様向けのサービスや、IRISを通じたタクシーサイネージの事業が収益の柱となりました。今後についても、これらの事業はトラフィックの向上と、Fill Rate を高めていくことで、より一層の収益拡大に努めていきます。

  また、Youtube動画の広告枠買付システムであるGPも、国内においてサービスローンチ後、少しづつ成長して来ました。また10月以降は足元非常に順調に成長しています。日本だけではなく、アジアでも順調に拡販が続いており、この中期経営計画期間では北米への再進出と拡大も実現していきます。

  さらに、デジタルサイネージ領域でも、タクシーサイネージで培った知見、ノウハウを活かして、今後は他社へのシステム提供などを通じて新たな収益化も実現させていきます。

  グループマネジメントの方針についてはこちらです。

  当たり前のことをやっていくということに尽きますが、各事業、拠点が一定の規模をもって収益化し、UUUM社の連結子会社化を実施したこのタイミングだからこそ、グループ全体としてのシナジー創出、経営資源の配分(人材ローテーション含む)により注力していきたいと考えています。

  また、前回中期経営計画期間でカンム社を売却いたしましたが、当社のM&A資金はまだ潤沢にございます。追加的なM&Aについても、引き続き活発に狙っていきたいと考えています。

  今回の中期経営計画達成に向けた体制については、こちらの通りとなります。各フォーカス領域における戦略実行のため、取締役の管掌変更や、執行役員の追加選任を行っています。

  まず取締役の体制として、従来北米のPlaywireは取締役の竹内が管掌しておりましたが、広告事業の時吉の管掌に移ることとなりました。当初からの計画とおりではありますが、PlaywireのPMIがある程度落ち着き、今後は事業シナジーやグループ全体のデジタルマーケティング戦略との関係性が重要になってくる局面で、広告事業を集約していこうという狙いです。また、これに伴って竹内も当初想定していた役割を終えましたので、今回の株主総会にて取締役から退任となります。

  また新任の執行役員として、先ほどの各フォーカス領域に対応して執行役員が選任されております。まず、インフルエンサーマーケティング領域では、グループ全体のインフルエンサーマーケティングを管掌する執行役員として鈴木を選任し、UUUMにも取締役として派遣いたします。また、UUUMの業務執行取締役である、梅景と安藤の両名を今回ホールディングスの執行役員としても迎えております。次に、Retail領域でもプロダクトマネージャー、エンジニアとしての経験が豊富で、ハードウェアにも精通した廣瀬を執行役員に選任しております。さらに、この組織図外のところでも、北米のアドテク業界の動向に精通している安里がグループの中核プロダクトカンパニーである株式会社フリークアウトの役員も兼任することになりました。日本発のプロダクトを北米経由でグローバルに展開する、北米の最先端のトレンドを日本でプロダクトとして実装していくための布石となります。

  その他執行役員陣については、大きな変更はなく、前回の中期経営計画を達成したメンバーが引き続き今回の中期経営計画でも成長を牽引していきます。

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