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新・中期経営計画(FY21-23)

2020.11.17

  当社は、この度、2023年9月期に向けた3ヵ年の中期経営計画を策定いたしましたので、事業の進捗と併せてご説明させていただきます。

  ダウンロード資料についてはこちらをご確認ください。

<取締役 CFO 永井>

  まず、前回2017年末に策定・公表した、2020年9月期に売上高330億円、EBITDA30億円を達成するという前・中期計画に対する振り返りです。

  こちらは売上については7割強程度の達成度、EBITDAは大幅に未達ということで、経営チームとしても真摯に受けとめております。

  要因としては、まず大きなところで①某大規模メディアとの提携関係の解消がありました。これは、最盛期は、持分法投資利益として四半期で約2億円、DSP等の粗利として四半期で3.5億円程度が発生していた取引となります。多少落ち込みがあったとしても、安定して収益を支えてくれうる基盤になると見越していた事業ですので、この提携が終了したのは非常に大きな影響がありました。

  次に、新領域事業について、現時点においてカンム社が非常に順調に成長を遂げているものの、連結子会社化には至っておりません。また、そのほかにも複数社で新規事業を行って経営しておりましたが、これらについても収益貢献に至ることなく、清算・売却・経営陣によるバイアウトによりいずれも連結グループからは外れております。これらによって、当初想定していた収益を生じさせることができなかったことが、目標数値未達の要因となっております。

  最後に、新型コロナウイルスも2020年9月期に一定程度影響を与えております。

  これら主に3つの要因によって、前回の中期計画は大幅な未達となっております。

  反省点についてもこちらのスライドの通りで、真摯に受けとめておりますが、不採算の拠点・事業の撤退を中心に、当社として手を打つべきところにはすでにしっかりと手を打っております。

  その結果、某メディアとの提携が終了したこと、不採算事業に関連する撤退損失やのれんの減損を一気に行った影響で、2019年9月期はかなり大規模な損失が発生いたしましたが、2020年9月期は新型コロナウイルスの影響がある中でも、営業利益・EBITDA黒字に回復いたしました。また、北米のPlaywireと、先程のカンムのように、次の中計期間の収益の柱となるべき事業の仕込みが着実に完了しております。

  さらに、ファイナンス面では、前中計達成に転換価格のターゲットを置いて実施した新株予約権付社債(CB)の償還問題が、計画未達に伴い生じておりましたが、これも無事に償還が完了しており、次の中計期間に挑む準備を終えております。

  以上、総括しますと、特に某メディアとの提携が終了したことで前中計達成のストーリーが大きく崩れることになりましたが、そこに依拠しない収益基盤を作るという前中計の課題については、満足いく水準ではもちろんないものの、一定の成果を出せたと考えております。

<代表取締役社長 Global CEO 本田>

  当社祖業であるRTBのテクノロジーは、「コンピュータが、人が媒体を見た瞬間を一瞬で評価し、適正価格を算出し、広告枠を買い付ける」ことを可能にしました。それまでの人の手による買い付けでは絶対にできなかったこの手法が可能になったことで、広告業界には、「アドテク(広告テクノロジー)」と言われる新しいマーケットと、多くの職種が誕生しました。

  この経験から、当社のミッションは「人に人らしい仕事を」とし、機械が人間の仕事を奪うのでなく、機械によって、人間の新しい仕事を作り出すことを可能にするようなビジネスの創生を目標としてきました。

  昨今DXというキーワードが流行り言葉になっていますが、このキーワードが意味するところが、「人の仕事を機械に置き換えること」であるとするなら、我々フリークアウトは流行り言葉に惑わされず、引き続き「人間では不可能だったことを機械によって可能とし、それによって、これまでなかった新しい仕事を人に提供する」を目指します。

  よって今回の中期計画も、「DXまで」に留まっていることをよしとせず、「DXの先」を見据えた計画であるよう、引き続きこの「人に人らしい仕事を」をミッションとし、グループ一丸となって、中期計画に取り組んでまいります。

  新・中期計画についての詳細説明の前に、どのような流れで、前中計(FY18-20)から、今回の新中計(FY21-23)につながっているのかについて、お話します。

  前中計の前半(FY18-19前半)は、海外を始めとする新規事業への投資を一気に行いました。多くの新規事業・拠点展開・買収と行ってきたので、その中から、順調に伸びてより注力すべきところと、継続が難しいところの判断と整理を行ってきたのが前中計後半(FY19後半-FY20)にあたります。

  新中計においては、この前中計でしっかり結果を出せた事業に対し、更なるフォーカスを行います。つまりは、これらに対し更なる経営資源の投下を行い、組織もこれに向けて一新し、それによって更に事業を伸ばしていくことと、また新たな投資についてはその周辺領域にフォーカスして行われることとなります。

  詳細は後ほど各管掌取締役/執行役員からになりますが、サマリーになります。

  定量面では、FY23のEBITDAの計画を、30億円と設定しました。前中計で未達となったEBITDA30億円を改めて目指すという意味でもあります。FY20でもすでにそれなりのインパクトを出していた投資事業からの利益は、引き続き上乗せ要因として期待はしているものの、時期が読みづらいことから本計画には含めず、事業収益のみから発生する利益計画としました。

  定性面では、事業の方は先ほど説明しましたように、前中計で伸ばせた広告・FinTech領域へのさらなるフォーカス、海外も米国を始めとしてすでに順調に成長している地域へさらなるフォーカスしてまいります。そしてグループ経営面では、このようにフォーカスエリアも定まったことから、個別最適のフェーズから全体最適の方向へ、具体的には、グローバル企業運営に求められる、国をまたいだ、シナジー創出や、人やお金の行き来の効率性を高めて経営の最適化を行い、結果としてグループ全体の収益力を高めていくことを目指します。

<取締役CFO 永井>

  定量面について、全体感や意味合いについては先程本田からの説明の通りとなります。

  一方で、各年度で想定している進捗について若干補足させていただきます。

  まずFY21については、すでに公表した業績予想及び2020年9月期の決算説明資料でも説明申し上げている通り、FY20と比較して収益水準はほぼ横ばいと置いております。意味合いとして、特に大きなところでは、Playwireにおける人員増を中心とした投資があります。詳細は後ほど竹内からありますが、成長スピードが極めて速く、北米を中心とする英語圏という巨大なマーケットで完全に勝ち筋が見えていることから、この会社の収益をFY23に最大化するため、もう一段、ヒトを中心とした投資を決定いたしました。この成長投資を継続しつつ、一方で有価証券売却による収益に依存することなく全体として、FY21はしっかりと収益化させるというターゲットを想定しております。

  次に、FY22については、FY21の成長性とFY23の目標数値達成度合を見ながら、順調であればやや投資を抑制することもありうる、ビハインドが生じそうであれば利益の状況を見つつ、追加で必要な投資を必要な事業に行っていくなど、調整弁となる期を想定しております。

  また、現時点では意思決定しておりませんが、順調であればFY22の後半からFY23にかけて、後ほど各管掌からご説明申し上げる、SilverPushやカンム、Jentといった新しいグループ会社の連結開始を狙っていくことになると考えております。そのため、EBITDA30億円に向けた道筋としては、FY21からFY22にかけては微増程度、そこからFY23に向けて非連続的に収益が伸びていくといった成長曲線のストーリーを予定しております。

<代表取締役社長 Global CEO 本田>

  ここでは中計に向けて、どのような考えに基づいて、具体的にどの分野にフォーカスしていくかについて説明します。

  まず背景からですが、当社が10年前の創業以来続けている、未だ主力事業であるDSP事業ですが、この事業の根幹をなすのは、「ユーザーデータを活用したターゲティング技術」であることに疑いの余地はありません。これによって、「良質なユーザーデータを用いれば、高い広告効果が期待できるので、プレミアムな媒体でなくても広告枠を高く販売する」ことが理論上可能になりました。

  例えば、インターネットを使っていれば誰でもよく経験することですが、一度どこかのサイトに訪れたら、その後そのサイトの広告がどこにいってもでてくるようなリターゲティング広告なども、これを利用した手法の一つです。

  一方で残念なこととして、こういったことが可能になると、一部の広告事業者は、極めて品質の低い媒体や、極端な場合、違法サイトのようなところの広告枠まで販売をするなどしたケースも起こってしまい、これがTVなどのメディアでも取りあげられ、社会問題化することもありました。

  この結果として、インターネット利用者の間には過度なプライバシー意識が芽生えてしまったり、大手プラットフォーマーも、我々のような事業者に対して、より厳格なデータ利用のルールを敷いてくるようになり、この傾向は今後益々強まっていくこととなるでしょう。

  つまり、広告事業者はこれまでの「ユーザーデータ偏重ビジネスからの脱却」が迫られており、この問題に対する具体的な解決策をどれだけ持っているかが問われているのが、我々広告事業者が迫られている現状と言えるでしょう。

  そのような中、我々フリークアウトですが、誰でも知っているような国内有数の複数プラットフォーマーへの広告システムを提供するなど、従前より、プレミアムな一流媒体とのお取引を中心に事業を伸ばし、「低品質な媒体を、ユーザーデータを使って高く売る」ような事業方針とは距離をおいてきました。またインターネット外においても、広告によってタクシー車内のプレミアムな空間作りをお手伝いさせてもらうなど、「プレミアムなものづくり」に対しては、グループ内の各事業会社が高い水準のこだわりを持って取り組んできたことは、自負しております。

  そのような中で、今後広告会社がユーザーデータを活用しにくくなる流れの中で、我々が中計に向けて定めたスローガンは「Focus on the good stuff.」つまり、ユーザーデータに頼りすぎず、今までやってきた通りに、高いモラルをもって、よいものを扱っていくことに集中していこうという考えを海外の子会社を含むグループ全体で共有することとしました。

  この考えに基づき、当社主力事業である広告事業において、「ユーザーデータ依存から離れて、プレミアムなものを扱う」ことにフォーカスする当社の戦略は、以下の4つです。

・プレミアム媒体支援
実績面からも、国内屈指の優良媒体がGAFAに依存しすぎない形で、独自の広告プラットフォームを運営したい場合、まずは当社に相談にくる流れが当たり前になってきました。このような水準の媒体が求める最新の広告技術に更に注力していき、プレミアムな媒体へのサービスを強化していきます。

・動画広告技術
ユーザーデータが使いづらくなる中、広告掲載する媒体の内容をコンピュータが正しく理解することが益々重要になってきます。一方で動画メディアの視聴が益々伸びていく中、AIによって動画のコンテキストを解釈できる技術を持つ当社グループの強みを更に強化し、このテクノロジーを活かしたビジネスをグローバルで拡大させていきます。

・デジタルサイネージ
タクシーに続く、次なるプレミアム枠を開発していきます。

・次世代型チャット
ユーザーデータの制限によって、リターゲティング広告が使いづらくなる中、その代替としてのチャット活用は、すでに当たり前のものとなりました。一方で、チャットが当たり前になればなるほど、人間らしい複雑な会話が出来ないなど、既存のシンプルなチャットボットの技術的な限界も見え始めたので、次世代のチャット技術、チャットによる新たな顧客コミュニケーションの手法についても、投資・研究開発を行っていきます。

<執行役員(広告事業グループ) 時吉>

  続きまして、フォーカスポイントの1つであるプレミアム媒体支援についてです。

  広告予算の中でデジタル広告へのシフトが本格的に進んできています。フリークアウトではデジタルシフトが進む中で媒体社様支援をすることが、今後のデジタルマーケティング市場で重要と考えています。

  前中計時にRFPというプレミアムな媒体社様向けの広告プラットフォームを開発し、プレミアムな媒体社様の支援を行ってきました。その中で、プラットフォーム支援だけでなく総合的に支援することで媒体社様のビジネスを加速できると確信をしております。

  今後も引き続き、RFPを活用してプレミアムな媒体社様の収益課題に向き合ってまいります。また、プレミアムな媒体社様の新しい広告フォーマットの開発をすることで収益性を最大化することと、広告主様にとってより意味のある枠の提供を行っていきます。

  また、海外のプレミアム媒体社様は収益源の多角化が進んできています。国内でも今後プレミアム媒体社では、広告収益以外の収益源が大きく成長すると考えています。フリークアウトではその収益源の多角化をテクノロジーで支援をしていくために新しいモデルの模索と開発を行っていきます。

  以上の取り組みを通して、媒体社様への総合支援で年200%成長を目指してまいります。

<執行役員(海外グループ) 竹内>

  続いて、フォーカスポイントの2つ目である動画広告技術についての取組みをご紹介します。

  動画広告市場が拡大する中で、広告主様にとっても媒体主様にとってもその広告価値を高めるための取組みを行ってまいります。

  当社関連会社のSilverPushはAIを活用した動画解析技術開発に注力しております。昨年リリースした「Mirrors」は動画メディアのコンテクストに沿った広告を実現します。

  YouTubeなどの動画コンテンツ自体を解析し、顔(人物)、ロゴ、商品、背景など視覚情報を認識、既存の広告サービスでは設定できないレベルの定義での配信を可能とします。この解析情報を基に、例えば、意図せずブランドを毀損する様なコンテンツに広告が露出されることを防ぐなど、ブランドセーフティの担保されたより安全な配信も可能にします。また、コンテンツにマッチした広告を配信することにより、ユーザ体験も改善され、配信効果を高めることができ、既存の広告サービスのデフォルトターゲティングによる配信に比べて、視聴率や配信視聴単価が改善されるという結果が得られています。

  既に東南アジアにおいてフリークアウトのセールスチームによる販売を段階的にスタートさせておりますが、10月より当社のサポートのもと、SilverPushの日本における販売展開をスタートさせました。まずは日本の動画広告市場においても基礎収益とプレゼンスを確保した上で、このSilverPushを中心にグループ全体としても様々な動画広告の価値向上につながるシナジーを創出してまいりたいと思います。

<執行役員(広告事業グループ) 時吉>

  次に、デジタルサイネージについてです。

  デジタルサイネージに関しては、今回の中期計画では大きく2つの軸で動いてまいります。

  前中計期間で大きく成長をしたタクシーサイネージは、コロナ渦で大きく影響を受けました。また、収益の回復はその他デジタル広告と比較して時間を要している状況です。まずは早急にコロナ以前の水準にまで戻します。

  また、Japan TaxiとMOVの統合により、大規模な広告媒体になってきていますので、更なる成長を目指してまいります。

  その中で、現在の広告商品以上のものを企画・開発をすることにより、タクシーサイネージの収益を最大化していきます。また、コロナで収益化の回復に時間がかかったことを反省し、グループ全体のテクノロジーを活用した有事の際の対応もあわせて進めていきます。

  もう1つの柱は、新生Ultra FreakOutの稼働になります。

  タクシーでのデジタルサイネージの成功事例を元に、タクシー以外のサイネージ開発を行ってまいります。タクシーの実績から既に多くのパートナー様からお問い合わせをいただいておりますが、これまではグループ会社の中で情報やノウハウが一元化されていませんでした。Ultra FreakOutが稼働することで、グループ全体の中でのサイネージ関連の知見・ノウハウを集約して、タクシーに続く新しい媒体を開発してまいります。

<代表取締役社長 Global CEO 本田>

  続いて、フォーカス領域の次世代型チャット技術についてです。

  企業にとって、国内ではLINEに代表されるようなチャットを通した顧客とのコミュニケーション手法が、EメールやSMSはもちろん、電話や対面営業にすらも取って代わるスタンダードになっていくという考えの元に、2017年にチャットボット事業を展開するZeals社への出資を皮切りに、当社は黎明期からこの分野を追ってきました。結果として、その後急拡大してきたチャット市場を、現在では俯瞰的に捉えられる非常によいポジションにいるのが、当社であると認識しています。

  一方で、業界が急拡大し、消費者にとってもチャットボットによる企業アカウントにふれることが当たり前になってきた中、一般的なボットの会話技術では、シンプルな返答しか出来ないため、複雑な商品の説明であったり、「接客」と呼べるような顧客対応を求めることは、まだまだ難しいのが現状であります。

  こういった課題に対し取り組んでいき、これまでのチャットボットが作ってきたマーケティングにおけるチャットの可能性を更に広げ、それを包含する、顧客コミュニケーション全般の巨大マーケットを狙いにいくのがこの次世代チャット技術になります。今後この市場は更なる拡大により、多くのプレイヤーが入ってくると予想されますが、その中でも先んじて仕掛けにいってる2社について紹介いたします。

  まずは先程も説明しました、当社が初期から投資を続け、チャットボットの分野では今や業界内でもリーディングポジションにつけている、当社の持分法適用会社にあたるZeals社です。

  Zealsからのプレスリリース等にて、すでに紹介されている内容にはなりますが、チャットボットから企業の販売員とのビデオ通話につなげる「接客DX」のサービス提供が、旅行会社大手の株式会社エイチ・アイ・エス向けに開始されました。

  コロナにより対面での接客営業が難しくなっていることもあり、この新サービスのリリースニュースはいくつものメディアでも取りあげられ、うまく時流を捉えたサービスとなっており、今後のサービス拡大を期待するものとなっています。

  そしてもう1社ですが、こちらについては、これまでほとんど社外に情報を出してこなかったこともあり、少し詳細に説明させてください。

  Jentという会社ですが、こちらは独自開発のチャット会話エンジンを使ったサービスを展開する技術会社です。特徴は、機械による会話をベースとしながら、そこに人間のオペレーターを介在させることで、これまでのチャットボットでは不可能だったレベルの自然な会話を実現させました。

  現在のところ、まずは不動産分野にてサービスインしていまして、すでに「初期の顧客接触から内見予約まで」をチャットのみによって実現しています。

  参考として、チャット画面のやりとりをキャプチャしたサンプルを掲載していますが、ご覧の通り、このレベル感になると、チャットを通してやり取りをしている顧客は、人間とチャットしているようにしか感じません。ですが実際は、9割以上の返答はコンピュータが生成しており、人間のオペレーターは、僅かに起きるコンピュータの返答が難しい場合の対応がメイン業務となります。

  これにより、現在は一人のオペレーターが1時間で、平均40人の顧客とのやりとりをすることが可能になっています。すでにこの時点で、接客営業と比較した場合、圧倒的なパフォーマンスではあるのですが、今後コンピュータの会話精度が上がれば上がるほど、より高い効率が期待できる可能性を秘めています。

  更には、この同時多数の接客対応をこなすオペレーターは、主に在宅ワーカーであったり、海外在住者もいたりと、場所を選ばず働くことが可能になっています。これは正に「テクノロジーが生み出した、新しい人の仕事」であり、当社ミッションのところでも説明しました「DXの先」を見据えたものであるという認識の元、よりフォーカスを強めていきたい分野でもあります。

  すでに不動産業界においては、Jentの会話エンジンは一定の評価をいただいていることもあり、今後はBtoB向けのサービスを強化していく方針ですが、不動産以外でも、単純な会話では顧客獲得が難しい業種は多いので、それらの領域に事業を広げていく考えです。

  Jent社とは、最終的に完全子会社化を前提として、すでに1年半ほど前から資本関係を結び、技術面、ビジネス面含む、包括的な支援を行っています。

  カンム社については、大きな情報のアップデートはありませんが、引き続き、非常に順調に成長を継続しています。

  特に大きなブレイクスルーは、1ユーザーあたりのLTVが獲得コストを明確に上回ってきたことです。すなわち、低い離脱率を加味しても、広告宣伝費をかけてユーザー(インストール数)を増やせば増やすほど、将来における収益獲得が大きくなるというフェイズにきました。(大きな参入障壁の要因ともなっています。)

  そこにきて、さらにセブン銀行様からの資金調達も完了したことで、収益化とその後の連結開始に向けて、ほぼレールを敷ききった状態となりました。

  当初の想定よりも連結開始のスケジュールが後ろ倒しとなっておりますが、この中計期間で完成する新しい収益の柱としてご期待ください(なお、現時点では今年度中の連結開始は想定しておりません)。

<執行役員(海外グループ) 竹内>

  続いて、グローバル戦略について説明します。

  フリークアウトの企業理念である「人に人らしい仕事を。」、これをグローバルで実現する事をミッションとしてまいりたいと思います。

  2017年~本年9月までの前中計期間には自社拠点の展開に加えて、ASEANを中心にM&Aにより沢山の会社を取得し、一部は売却や清算等を行ってまいりました。各海外グループ会社について、2023年にはそれぞれが明確な付加価値と強みを確立し、収益力を確保し、各国で存在感を獲得している姿を目指します。各社がしっかりと収益を確保した上で、各社間での提携・シナジー創出が本格的に推進できるようになると考えています。従いまして、2023年までの今中計期間は、まず第一に各事業の収益拡大にフォーカスいたします。

  グループ会社の中でも特に米国のPlaywire社はメディア向けの収益化支援事業が好業績となっており、今後さらなる成長のチャンスがあると考えています。可能な限りリソースを大胆に投入し、体制を拡充して、収益を拡大してまいります。また、NasdaqへのIPOも視野に入れて進めたい考えです。今後当社がプロダクトカンパニーとしてグローバル市場で高い競争力を持って展開していくためにも、このPlaywireを足がかりに米国市場でプレゼンスを獲得して行きたいと考えています。今中計において、米国事業は非常に重要であり、安倉が専任で担当致します。

  APAC事業は、台湾のadGeek社、タイのdigitiv社、dotgf社など各社のコアコンピタンス確立と基礎収益力の拡大を進めてまいります。さらに先程ご紹介した動画解析・広告技術を持つSilverPushとの協業を深化させてまいりたいと思います。

<取締役 CFO 永井>

  最後に次の中計達成に向けての、グループマネジメントの方針についてです。

  冒頭の反省点とも一部重なりますが、前回の中計においては、

・グループ全体としてのシナジー創出、経営資源の配分(人材ローテーション含む)

・一部グループ会社のハンドリング(損益管理含む)

について、より改善すべき課題が多くありました。本来的に、これらをより円滑に行うためにホールディングスを4年前に実施いたしましたが、十分に達成されないままに前中計期間が経過いたしました。

  今回の中計においては、その反省もしっかり踏まえて、特に優秀な人材のグループ内ローテーションや、定量面・定性面双方に渡るグループ会社の損益管理、シナジーの構築などを目指して、組織体制も大きく変更しております。(具体的には次のスライドの通りとなります)

  また、グループ内に上場企業も出てきたことで、今後はコア事業への集中投資を可能にするため、非コアの事業については積極的に売却を進めていきます。すでに複数の有価証券を前年度に売却してきておりますが、今年度においても第一弾として、先日インティメート・マージャー社の株式売却を決議し、開示いたしました。なお、これは当然、売却する事業の成長性を否定するものではありません。成長確度が極めて高い領域に集中的に投資するため、換金可能性が高く、安定稼働に入ってきた資産について、優先順位を見定めてしっかり売却していこうということです。

  新しい中計達成に向けた、具体的な体制についてはこちらの通りです。

  特に大きな体制変更のところで3点あります。

  まず取締役の体制については、前中計期間に業務執行側の取締役として新領域事業を管掌していた佐藤と、広告事業を管掌していた安倉が執行役員となります。背景としては、当社にとって今後3年間の成長領域を考えた場合に、カンムとPlaywireの2社の成長がキーになっていくことは明確です。そうすると、取締役として他社も管掌する中の一つとして両社を見るのではなく、また、グループ全体の意思決定をボードメンバーとして並行して行っていくわけでもなく、カンムは佐藤が、Playwireは安倉が、それぞれ1社に集中して、執行していく方がよりグループ全体の成長にとってはポジティブに働く影響が強いという判断に基づくものです。

  また、同時に広告事業を管掌する取締役として時吉が、海外のM&A先グループ企業を管掌する取締役として竹内が、新たに取締役として就任する予定となっております。(正式には、12月23日に予定しております株主総会での承認を経て、取締役に就任いたします。)

  会社として、次の中計を担う取締役として、候補に選任する背景は以下の通りです。

  まず時吉については、創業間もないタイミングでフリークアウトに入社し、初期の成長を支えたあとに単身トルコに赴任して、同社の立ち上げと収益化に貢献いたしました(現在、トルコ法人は政情不安の問題などから、安定的な運営が難しいため閉鎖しております)。その後、株式会社フリークアウトの代表として、大手メディアとの取引関係が終了する逆風の中で同社を再成長に導いたほか、ホールディングスの執行役員として海外拠点の整理や収益化を達成しております。

  一方、竹内については、伊藤忠商事から昨年4月に出向し、現在は執行役員としてグループのM&A先のPMIを中心に担っております。当社として、伊藤忠商事との資本業務提携の成果を投資家の皆さまに事業面でお知らせすることにかなり時間がかかってしまっておりますが、ヒトの面では大変ポジティブなサポートを受けております。特に総合商社の得意とする海外トップとの折衝であったり、グループ会社の損益改善を重視したマネジメントであったりは、まだ成長途上である我々として、しっかりと見習い、ノウハウ・DNAを受け入れていくべきポイントと考えております。かかる観点から、竹内は、Playwireとの信頼関係強化や、adGeekの損益改善に大きく貢献しております。

  次に、代表取締役の本田が直接管掌する部署として、従前のGroup Techと新領域に加えて、0→1に近い新規事業(次世代チャット含む)を追加しております。その一方で、すでに安定稼働フェイズに入ったIRISについては、現在、新型コロナウイルスの影響で一時的に赤字化しておりますが、本田の管掌から時吉の管掌へ移動しております。背景としては、完全な新規の領域については、創業者としてのリスクテイクのバランス感と、シリアルアントレプレナーとしての経験が非常に重要となる領域ですので、そこに本田のリソースを注ぎ、0→1フェイズを終えた事業については事業サイドの他の取締役に渡すことで、リソースの最適化を果たそうというものです。

  なお、投資事業については、先ほど今回の中計の集計外で、プラスアルファの収益をもたらす存在としてある旨をお伝えしておりますが、2020年9月期もかなりの収益貢献をしております。今後も、投資先のポートフォリオとして新型コロナウイルスの影響がポジティブに働いているものが多く、かなりの規模で収益貢献してくれる可能性があると見込んでおります。新規事業と同様に、この事業も本田の経験がもっとも活きる領域ですので、本田が直接管掌する事業領域としております。

  最後に、執行役員体制について、従前の2名から6名の体制へと大きく強化しております。

  前述の佐藤と安倉に加えて、グループ全体のTechサポート(人材のローテーション含む)をミッションに、引き続きスーパーエンジニアの西口が執行役員CTOを務めるほか、台湾子会社の立ち上げから、自社海外拠点全体の収益化までを時吉の右腕として担った山根と、また、伊藤忠商事からの出向で新規投資やグループマネジメント経験豊富な清水を経営企画担当として、ホールディングスの執行役員に加えております。さらに、先ほどIRISについては本田の管掌から時吉の管掌へと変更した旨ご説明申し上げましたが、今後はデジタルサイネージの事業をタクシー内のみならず、重点領域の一つとして拡大していく方針をしております。そこに向けて、IRISの代表取締役でもある宇木を兼任として、当社の執行役員にアサインし、デジタルサイネージ事業の拡大を進めてまいります。

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